突き動かすもの

久しぶりのブログ更新です。

福島県立美術館

先日、福島県立美術館まで、「若冲がきてくれました」展を観に行ってきました。

私は休みの日曜日には、毎週NHKの日曜美術館を観るのを楽しみにしています。

数ヶ月前の春のある日曜日、「東北に届け 生命の美〜アメリカ人コレクター 復興への願い〜」という番組をしていました。

世界屈指のコレクター、アメリカのジョー・プライスさんが、「東北の被災した人々に少しでも幸せを取り戻してほしい」との想いで、江戸絵画と若冲の展覧会を、3月の仙台を皮切りに、岩手、そして7月からは福島へと巡業し、復興支援の一助として発足させたプロジェクトでした。

この番組を観た後に、「コレ生で観んとわたし死ぬわ」と心底感じ、即、朝一と最終便の往復の飛行機を予約をいれました。
で、感動の9月5日(木)。

ところが、この日は、到着までに大変な一日となりました。
というのは、前日には台風到来、埼玉で竜巻で家や車が吹き飛ばされる状況。

出発当日、まず伊丹空港で。
予約済みの飛行機とその次の便が飛ばないとのアナウンス。
他のどの便も欠航してないのに、あぁ…よりによってなんで福島便だけ飛ばないのだ…。
急遽、新幹線で行くことに決め、大慌てでリムジンバスで伊丹空港から新大阪へ。
いつもは、このリムジン、30分で到着するのに、しかもその日に限って渋滞。1時間近くもかかるじゃないの!
2日前には私が住む北大阪の山崎を震源とする地震もあり、これは「行くな」ということだろうかと、不安になり、新大阪駅で迷うこと20分。

それでも、やっぱり決行することに決めなおし、腹をくくって、伊丹→新大阪→東京→福島へと、延々4時間半、若冲と江戸絵画にかけることにしました。

初めて、東北新幹線に乗り、そこからさらに飯坂線に乗り継ぎ、ようやく到着したのが、2時前。
帰りの時間も調整しないと行けないので、逆算すると、美術館には2時間も滞在できないことがわかりました…。
今朝7時の空港から、7時間かけて福島の美術館に到着し、観覧時間は2時間…。
つい費用対効果なんかを考えてしまいそうだったけど、そんな下世話なこと考えるのやめよう、と思い直す。
私には、堪能できる時間は限られているのだ。

ひたすら絵に没頭しました。

そして、

観れて本当に本当によかった

写真でしか観ることがなかった若冲の「鳥獣花木図屏風」
若冲 若冲

や、一筆書きのように描かれた鶴の屏風、墨と空白の絶妙すぎるバランス。

テレビや絵からでなく、本物と会えたことは、まさしく至宝の時間でした。

画家達の卓越した技術や、対象への観察力はもちろん、空気感、迫力、情熱、温度感、想いなど、生(なま)から伝わる感触は五感を通して、私の心と魂まで奥深くに染み渡ってゆくのを静かに、かつ激しく感じました。

私が一番得たものは

「美はパワー」

ということでした。

そして、少しでも美に近づきたい、こころは美しく凛といるために、とにかく磨き続けようと心に誓ったのでした。

帰りは飛行機も無事飛んでいて、帰途につけました。
現地でいっさい食事をとる時間をとれず、ようやく夜9時過ぎに、南茨木の養老の瀧で人心地つき、ビールしました。

長くて短い、幸せな一日でした。

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